生産性向上を考える。

 

働き方改革の大きなテーマである生産性向上について考えてみます。

1.日本は世界で最も生産性が悪い国?!
右のグラフをご覧ください。日本の労働生産性は、先進国中最下位となっています。この状態は「日本は世界で最も長く働いて、最も事業の成果(儲け)が少ない国」と言い換えることができるでしょう。毎日必死に仕事と向き合っている私たちにとって大変残念な統計のひとつではありますが、一方で、働き方改革を通じて生産性向上に取り組むことで、今よりも1.5倍~2倍と大きな伸び率が期待できるという点では、とても前向きな統計にも見えてきます。
これから日本は世界で一番最初に人口の大幅減少時代を迎えます。企業の外部環境としては、働き手も顧客の数も減少するわけですから、生産性向上にどのように取り組み、どのような成果を得られるかは、事業継続に大きな影響があり、経営者としては気になるところですし、また緊急性の高い課題になっています。
働き方改革は単なる労働時間の削減や、女性活躍の推進だけではなく、経営者として儲かる仕組みづくりを行う、マネジメントの一環だと捉える必要がありそうです。

2.業務効率化への取り組みについて
働き方改革への第一歩として、労働時間の削減などの業務効率化に取り組む企業は多いです。業務効率化の具体策を考えるときに、幅広く活用できる、経営学の理論をひとつご紹介します。

業務効率化を考えるときに、E→C→R→Sの順番に取り組むことで、より効果的・効率的に改善が進められるという理論です。株式会社日本能率協会のホームページにて、「業務の改善においてECRSを適用すると、改善の効果が大きく、過剰や過小な改善も避けられ、さらに不要なトラブルも最小になる」と紹介されています。もともとは工場の業務効率化のためのツールのひとつですが、製造業以外の業種の業務効率化にも活用できる分かりやすい考え方です。まずは目の前の業務で、「なくせる業務はないか」を検討してみましょう。

3.生産性向上と業務効率化
ますます深刻化する働き手不足を考えると、いかに少ない労働時間(Input)で、今と同じだけの売上・収益(Output)を実現するか、といった業務効率化の視点がまず取り上げられます。
生産性の定義は以下の通りです。

式をよく見ると、労働時間などの分子(Input)を減らす業務効率化の方法以外にも、売上・利益といった分子(Output)を増やす方法での生産性向上もあることに気づきます。生産性向上を分かりやすく捉えるために、あえて簡単に捉えると、下記の5つに分類することが可能です。

①今の売上・利益を維持しつつ、総労働時間を削減する。
②売上・利益を伸ばしながら、同時に総労働時間を削減する
③売上・利益を伸ばしながら、総労働時間を維持する。
④総労働時間の増加を上回るペースで、売上・利益を伸ばす
⑤売上・利益の減少を上回るペースで、総労働時間を削減する

業務効率化は①~②の取り組みになるでしょう。限られた人員で、働く時間の制約を乗り越えて、売上・利益向上に取り組む③~④に挑戦するケースも立派な生産性向上です。なお、⑤のInput・Outputともに減少させる取り組みについては、会社全体の経営力を弱体化させる可能性もあるため、慎重に取り組む必要があります。どちらにしても、わが社で取り組んでいる働き方改革・生産性向上への取り組みが、①~⑤のどこを目指す取り組みなのかを、十分理解したうえで、目標設定してみましょう。

丸山 学  中小企業診断士
商売繁盛ファシリテーター、ワーク・ライフバランスコンサルタント。
1977年生まれ。静岡県立大学経営情報学部卒業後、信用金庫に18年間勤務。営業店の融資担当、融資審査部、経営支援部を経て、2017年ひだ経営コンサルティングを開業。新しい時代を築く次世代経営者(起業家・事業継承者・社長の右腕社員)の育成を通じて、地域の活性化に貢献する。
高山市起業セミナー(創業計画策定)講師、岐阜県信用保証協会創業者フォローアップ支援、プッシュ型事業承継支援強化事業ブロックコーディネーター、岐阜県働き方改革推進支援センター推進アドバイザー、高山信用金庫経営支援業務顧問などを担当。